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怪しいハードウェアいらいまくり
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ニキシ管で時計を作る


ニキシ管

かつてニキシ管という表示デバイスがありました。ガラス製のチューブにネオンガスと0〜9の数字の形をした電極を封入してあり、グロー放電で数字の形の電極がオレンジ色に光って表示を行うものです。電卓や切符自動販売機、測定器他 様々な機器に使われましたが、蛍光表示管、LED、液晶などの普及により1980年代を最後にあまり姿を見なくなりました。

しかし、ここ数年インターネット上のあちこちでニキシ管を使った時計を見かけるようになりました。理由はよくわかりませんが、あのガラスで出来た冷たい無機質な外観と ネオンオレンジに輝く暖かい数字の組み合わせが何とも言えないとか、レトロな雰囲気がいいとか、今の時代になぜだか受けているようです。端正なアラビア数字のフォントは、7セグメント表示の数字を見て育った世代の人たちの目には新鮮に映るのかも知れません。

別に流行っているからというわけではありませんが、ハードウェアに携わる技術者として一度はニキシ管で時計を作ってみたいと考えていました。やはり、珍しいパーツを使って何かを作って知り合いに自慢したいですし。(^^)

ニキシ管は既に製造されていませんが、中古測定器から外したり、新品のデッドストックがまだあったり、探せば入手は可能です。今回はオークションで中古測定器からの外し品を譲っていただいた物を使いました。

ニキシ管ドライバ

ニキシ管全盛の時代にはTTLの74141がニキシ管ドライバとして沢山使われていましたが、ここ数年のニキシ管ブーム(?)のせいか国内で在庫を持っていたパーツ屋さんも軒並み売り切れとなっていました。他のサイトを見てみると高耐圧トランジスタでドライブしている例が沢山ありましたが、ハンダ付けの手数を考えるととても面倒でやる気が起きません。運良くちょうど友人が海外のお店から74141を購入するというので便乗させていただき、無事にドライバ部分の問題は解決しました。

回路決定

本体回路は最近流行のPICやAVR等ワンチップマイクロプロセッサを使っている例が多い中で あえて汎用ロジックICで組んでみました。マイクロプロセッサを使わなかったのは、単純に開発環境を手元に作るのが面倒だったからです。カウンタが並んだだけのつまらない回路ですが、次のような仕様で回路を決定しました。回路図はこちら

1. 入手したニキシ管は4本の為、HH:MMの4桁の時分で24時制表示とする。
2. それだけではつまらないので、MM:SSの分秒表示にスイッチで切換できる。
3. 桁区切りのコロンにオレンジ色LEDを使い、1秒ごとに点滅させる。点滅デューティはON4:OFF1とする。
4. 時刻合わせは分の桁の遅送り(約3Hz)、早送り(50Hz)、および秒カウントのリセットの3個のボタンで行う。
5. 原発振は12.80000MHzの高精度オシレータとする。
6. ニキシ管の寿命と省エネのため、表示をON/OFFできるようにする。
7. ニキシ管ドライバ以外はCMOSロジックを用い、低消費電力化を計る。
8. せっかくなので、ニッケル水素電池で停電補償を行う。

回路的に凝った部分はあまりありませんが、40秒から59秒の間に秒リセットを行った時には分の桁へ繰り上がりを行うように工夫し、操作性をよくしています。

トマソン?

時計なので、10時の桁は0,1,2しか表示に使いません。カウンタの出力も2ビットでOKですね。全ピン、全ビット分配線しても永久にONにならないトマソン配線ですね。

電源について


電源入力はDC12Vとし、ACアダプタで動かします。ロジック用には3端子レギュレータで+5Vを作り、単4ニッケル水素電池を4本直列にした物をフローティング充電にして、停電時のバックアップとしています。
ニキシ管の高圧電源には少し苦労しました。今回使ったニキシ管は比較的大きい物のためアノード電流は1桁あたり2mA程必要で、4桁で8mA、ゆとりを見て全体で10mA程必要です。電圧を200Vとすると2W出力の電源が必要になるわけです。初めはEL用のインバータで何とかなるかと思っていましたが、ちょっと容量が足りないようで表示が欠けてしまいました。他のニキシ管時計サイトを何カ所か回って参考にさせていただき、結局12V→100VのDC-DCコンバータを2個直列にしてDC200Vを得る回路に落ち着きました。

しばらくこの構成で動かしていましたが、+5Vを作っている3端子レギュレータの発熱が大きく、連続運転するにはちょっと心配になってきたので、スイッチングレギュレータに変更しました。ここでは新電元工業製のHPH05001Mという5V/1A出力のスイッチングレギュレータモジュール(秋月電子で200円)を使いました。このモジュールは大きさが25x22x30mm(HxWxD)と結構小型でコイルも内蔵しており、電解コンデンサを2個外付けにするだけで、変換効率が高いレギュレータが完成します。ただ、いくら小型とは言っても今までの3端子レギュレータよりは大きいため、ニキシ管用高圧電源のDC-DCコンバータのマウント方法を今までの2階建てから基板上への縦貼り付けに替えて実装面積を稼いでいます。回路変更後の写真を下に載せます。(03-04-27 追記)


ケースについて


珍しいデバイスであるニキシ管がよく見えるように透明アクリルのケースが最適だと思いましたが、ものぐさな私には透明アクリル板を切って自作するというのはかなり難易度が高い工作です。特に切った板の断面を磨くなんて気が遠くなりそうなので、今回は東急ハンズで出来合いのケースを買ってきて済ませました。また、スモーク系や赤色系の透明板をニキシ管の前に置いた方がコントラストが上がって見やすくなるのですが、面倒なのでそのままにしてあります。

基板について


例によって1/10インチピッチの穴あき片面ユニバーサル基板で、ロジック部分はポリウレタン線で配線しています。基板外に出ていく配線には保守性を考えて、すべてコネクタを使っています。

組み立てについて


ニキシ管はソケットを使うタイプの為ソケット〜基板間のハーネスが必要になります。このハーネスの配線が一番面倒でした。

精度について

実売価格200円程の12.80000MHz高精度オシレータでどれほどの精度がでるのか心配でしたが、4〜5日で約1秒の遅れ、月差にすると6秒程度なので充分実用範囲だと思います。

懸案事項

電源の入力電圧が12Vと高いため、3端子レギュレータの発熱が結構大きいです。時計のように長時間動かし続ける機器としては若干の不安があるため、ヒートシンクをもう少し大きな物に変えようと思っています。
レギュレータをスイッチングタイプの物に変更して解決しました。(03-04-27)

リンク集

某研究所作成のニキシ管時計ニキシ管時計 その2
ニキシ管のダイナミック点灯とPICマイクロプロセッサを使用してエレガントに仕上げられています。


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